Spreader.info
トップページ リニュー・インフォ アート・インフォ クラブ・インフォ アザー・インフォ スプレッド・サイト

シルガ

アフリカにある小さな村で、同じ日に生まれ育った人間の子「ウーレ」と、ライオンの子「シルガ」による運命的な物語です。しかし、映画タイトルにもなっているライオンの子シルガはある種の象徴(きっかけ)として描かれている程度で、実際には大自然や動物達の声を聞くことができるウーレの、人としてたくましく育っていく過程を描いた物語と言えます。

歴史の縮図を感じさせるような流れの渦中に身を置きながらも、凛とした態度を崩さず真実を見定めようとするウーレの姿には、少なからず心動かされるものがあります。自然との対話、ライオンの子シルガとの共鳴、幼馴染みであるレナとの関係など、単純に子供が大人になっていくだけでなく、人間界と自然界の狭間における少年の純な視点が新鮮だと言えるでしょう。しかし、物語全般を通してどこかで聞いた話しを集約したかのような展開で、オリジナリティに欠ける印象を比較的強く感じます。中盤から後半になると、より一層ウーレを中心として物語が進行していくので徐々に違和感はなくなっていきますが、やはり純粋な物語自体にあまり魅力はないのかも知れません。このあたりが少々残念ではありますが、この映画のテーマ的にもストーリーがそれほど重要な役割を持っているとも思えないので、本質的なマイナス点にはなっていないと思います。

製作に「レオン」や「グラン・ブルー」、そして最新作の「WASABI」でお馴染みのリュック・ベッソンが行っていることや、パトリック・グランペレ監督のカンヌ映画祭ジュニオール賞受賞作だったりすることもあるので、日本でも意外と認知度が高い作品なのかも知れません。確かに難易度がそれほど高いわけではなく、純粋に楽しめる部分も比較的残されていると思うので、B級扱いされるには勿体無い作品だと言えます。しかし、かといって明らかに成功しているとも言い難いので、実際にはかなり微妙なバランスの元に成り立っているのではないでしょうか。

それにしてもこの作品、撮影するのは結構大変だったのではないでしょうか…。半ばあり得ないような展開が随所に鏤められているので(※1)、動物達をうまくコントロールするのに労力がかけられているように思います。確かに必見的内容ではありませんが、もし心を素直にして観ることが出来たとするならば、何か新しい発見に気付くかされるかも知れません。
(2002/03)

※1
よくわからない縄張り争いで像の群れがライオンの群れを襲ったり(しかもあっさり像はやられる)、子守りのお願いをコブラにさせてみたり、動物達が互いに意識を通じ合わせていたりと、どことなく「ジャングル大帝」的世界観を取り込んだような雰囲気があります
本文:ボブ爺

監督:
製作総指揮:
原作:

出演:

パトリック・グランペレ
リュック・ベッソン
ルネ・ギヨー

マテュラン・サンズ
サリフ・ケイタ
ソフィー=ヴェロニク・トゥ・タグブ

Movie List
SEMPRE 160x600
Google
WWW を検索
サイト内を検索