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野球狂の詩

「ドカベン」でも有名な水島新司の同名野球漫画を、日活ロマンポルノで活躍し続けた加藤彰監督が実写による映画化を実現させました。公開当時の1977年には、ドカベンも鈴木則文監督の手によって実写映画化がされたので、当時は様々な話題が持ち上がっていたのではないでしょうか。

実写になったとはいえ、まさに「野球狂の詩」そのものといった感じ。良くも悪くも原作に忠実で、特にキャスティングに関しては絶妙な選出だと言えます。主役の水原勇気を演じた木之内みどりについては、水島新司が自ら選んだものであり、同時にテレビアニメでも水原勇気の声も担当しているようです。その他にも、松川オーナーを演じた藤岡重慶、五利監督を演じた桑山正一、武藤を演じた鶴田忍、力道玄馬を演じた丹古母鬼馬二など、鉄五郎を演じた小池朝雄のヅラ&メイクを除けば(笑)、見た目はまさに“原作そのまま”という出来栄え。ただし、肝心の中身はかなりお粗末な出来になってます。そもそもプロ野球という舞台なはずなのに、これはどう見ても“町内会の草野球大会”程度のレベルにしか見えません。ようは、たまたま野球という題材を扱ってはいますが、実際には原作を実写で再現するという部分のみに力が入ってたのではないでしょうか。なので、逆に原作を知らない世代や興味のない人にとっては、単純に“ワケのわからん中途半端な野球映画”なだけかも…。

そもそも映画にするのが間違っているのではないでしょうか? 原作の中でポイントとなるようなエピソードを取り上げるのならまだしも、詰め込めるだけ詰め込むという無理のあるスタンスをとっているだけに、全体としてみるとかなり希薄感の強いペラペラな内容になってしまっています。最初の方はまだ良かったんですが、水原をスカウトするあたりから急激に展開が早くなり、ドリームボールなんてサラッと流され、どれだけ苦労して会得しようとしていたかがまったく伝わりません。さらに原作ではかなり重要なポジションに位置する武藤なんて、要所で紹介される程度であっさりトレード。さらにその後はまったく画面に登場することなくいきなり映画は終了。よりによって「これから頑張るぞ!」という、あまりに人気がなさすぎて途中で打ち切られた連載漫画のような終わり方で、つい画面に向かって「コレで終わりかい!」と激しくツッコミたくなります。

かなり昔の映画であり、一概に今の視点でどうこういうこと自体が無意味かも知れませんし、どれだけショボイ部分があったとしても、それを補うだけの魅力を提示しているのもまた事実です。もし映画公開当時にリアルタイムで体験した世代の人がいれば、世紀が変わったこの時期に、もう一度郷愁の思いで観てみるというのはどうでしょう。
(2002/04)

本文:ボブ爺

監督:
助監督:
製作:
企画:
原作:
脚本:

撮影:
音楽:
美術:
照明:
編集:

出演:

加藤 彰
八巻晶彦
樋口弘美
佐々木志郎
水島新司
大工原正泰
熊谷禄朗
前田米造
高田 信
川船夏夫
新川 真
井上 治

木之内みどり
小池朝雄
桑山正一
高岡健二
犬塚 弘
谷 啓
藤岡重慶
高木 均
高田敏江
山科ゆり
水島新司
アパッチ
鶴田 忍
沢田勝美
石井富子
高橋 明
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