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東京フィスト

東京という街を舞台に、男2人と女1人が繰り広げる混沌に満ちた愛の物語。愛、欲望、嫉妬…、ボクシングを通してリングでぶつかる男2人、戦えないことからくる行き場のない想いを自虐行為に転換させる女1人。それぞれの想いがそれぞれの世界観で交差する、沈痛無比でよどみきった内なる世界を描いた作品です。

鉄男」でその才能を世界に知らしめた塚本晋也監督の作品。今作はサンダンス・フ ィルム・フェスティバル・イン・トウキョーグランプリの栄誉にも輝いています。塚本監督の実の弟との共演という点も見所で、やぱりプロボクサーの経験を持つという塚本耕司の体は程よく引き締まり、その演技とともに狂気な迫力を放っています。さらに監督本人も1年間ボクシングジムに通っていたようなので、“ボクシング”という集約の場には並々ならぬ想いがあったのでしょう。

東京という舞台で様々な葛藤を表にぶちまけているようではありますが、やはり内向的ベクトルの方が重いため、どこまで昇華しきれているのかを観るものにも切迫させらるのではないでしょうか。この手の作品はまさに紙一重であり、ある意味自己満足との戦いとも言えてしまいます。良いか悪いかではなく、単純に好きか嫌いかで判断してしまうのが、一番うまくおさまってしまうのではないでしょうか。

個人的には、ひづるを演じる藤井かほりのぶっ飛び具合をもっと強調させて欲しかったりします(十分コワイという声もありますが)。どうも映像と音声のズレが気になってしまい、迫力ある演技から生じる一体感があまり伝わらず、根本的に感情移入がしにくい気がします(※1)。ただし、何げに漂う微妙なチープさが微妙に心地よく、力技ながらも「おお!してやったり!」と感じるカットが多々ありました。特に塚本兄弟が最初に殴り合うシーンは、バレットタイム的表現(※2)を醸し出す程の不思議な迫力があり、大袈裟でチープな部分がネタなのか真剣なのか考え込んでしまう程の変な説得力がありました(笑)。

基本的には真面目でシリアスな内容ではありますが、「顔の腫れ方&血の出方が嘘臭っ!」とか、「最初っからピアスの穴開いてるがな!」とか、いろいろ笑えるツッコミが繰り出せるところを考慮すると、意外と懐の深い映画なのかもしれません。さらに観る側もあわせて暴走してしまえば、より一層の相乗効果で違った楽しみ方が出てくるかも!?
(2002/07)

※1
音声は別撮り(アフレコかな?)のようなので、どうしても口と声が合わない部分が出てきてしまいます。しかし、この映画の場合はワザとやってるのかと思わせる程ズレているので、個人的には本筋そっちのけで気になってしまいました
※2
役者の動きはスローでありながらも、カメラの動きは通常通りのスピードで動くというちょっと不思議な感覚を生み出す映像手法。マトリックス的映像といえばわかりやすいかな? ちなみに類似した表現手法で、役者の動きが止まりカメラのみが動くタイムスライスというものもある(こっちの方がメジャー)。念のために言っておきますが、別に東京フィストのなかでこれらの手法が使われてるわけではありません。要は単なるスロー映像なんですが(笑)、下手なタイムスライス以上に迫力が出てるっていうことを言いたいわけです
本文:ボブ爺

プロデューサー・監督・脚本・撮影:
美術監督・照明・編集:
助監督:
原案:

音楽:
美術:




出演:

塚本晋也
塚本晋也
大谷清英
斎藤久志
塚本晋也
石川 忠
小出 健
黒木久勝
磯野 勇
山口るみ
外山光子

藤井かほり
塚本晋也
塚本耕司
六平直政
竹中直人
輪島功一
田口トモロヲ
叶岡 伸

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