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2084年。宇宙人の侵略によって地球規模での戦争が始まり、人類はほぼ壊滅状態。この状況を打開するために、人類がとった最後の手段が「過去に戻って地球にやってきた最初の一匹目を殺す」というもの。歴史を変えるために過去に戻るミリ、そしてミリを助けながも友の敵を追うミヤモト。それぞのれの想いが交錯する中、はたして人類の未来はどうなっていくのだろうか…。

時間軸をストーリーに盛り込んだこともあって、ハッキリ言って矛盾だらけの内容になっています。あまりにも突っ込みどころが多いので、逆に“それはそういうものなので深く追求してはいけない”というある種の潔い切り捨て感すら漂います。しかしこれがうまく功を奏しているのか、矛盾だらけのわりにはあまり気になることなく観ることが出来ます。これは大筋でのストーリー展開は有りがちで矛盾に満ちたものだったとしても、各所でキーとなる盛り上がりポイントをうまく詰め込むことで、最終的にはエンターテイメント性を比較的高い位置で維持させようという方向性なのかも知れません。表面上ではなんでもかんでも取り込んでパクリ倒すというスタンスですが、逆に絞る部分はしっかり絞っているというのが実態なのかも!?

何かと気になる映像の仕上がりですが、VFX畑の監督が制作したということもあってか邦画にしてはかなり力が入っており、CGIを多用したハリウッド的指向に仕上がっています。しかし、実際には微妙に精度が怪しいカットが多いので、要求したクオリティを実現させるだけの予算が無かったのも知れません…(単なる技術力不足 or 時間不足かも知れませんが)。

個人的に大いに評価したいのが、歴史を変えるために未来からやってくるという大役を演じた鈴木杏の演技力です。「ヒマラヤ杉に降る雪(※1)」で英語力と演技力に高い評価を得た鈴木杏ですが、今回の映画では演技力、特に豊かな表情の変化や目の力に大きな魅力を感じました(英語に関しては“すごく丁寧で奇麗な発音”といった印象)。どうも金城武は日本語を喋らせると一気に地に落ちる感じなので(母国語での演技は好印象なのだが…)、妙に鈴木杏の魅力だけが目立つ印象です。今までは鈴木杏の良さが全くと言っていい程理解できなかったのですが、一度その魅力にハマると妙に唸ってしまうというのが本当のところかも!?

基本的には何も考えずに気楽に楽しむ系の映画で、従来の邦画にはないスケールとテンポが好印象なので十分楽しむことが出来ます。そして多少は伏線が込められたストーリー展開を見せるので、ただのパクリ倒し映画では終わらないオリジナル性もある程度主張できています。日本発のハリウッド系映画でも興行的に成り立つという良い見本だと思うので、チェックしておいても損は無いと思います。
(2003/10)

※1
イーサン・ホークと工藤夕貴が共演した1999年公開の作品。原題は「Snow Falling on Cedars」
本文:ボブ爺

監督・脚本・VFX:
共同脚本:
音楽:
撮影:

照明:
録音:

出演:

山崎貴
平田研也
松本晃彦
柴崎幸三
佐光朗
上田なりゆき
佐藤忠治
田中靖志

金城武
鈴木杏
岸谷五朗
樹木希林
高橋昌也
岡元夕紀子
村田充
飯田基祐
清水一哉
川合千春

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