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WASABI

リュック・ベッソンが脚本&製作、TAXI2で一躍名を馳せたジェラール・クラウジックが監督、主役はリュック・ベッソン、ヒロインに広末涼子、製作費は25億円(本当だろうか?)というなんとも超豪華な構成。日仏合作となる今作は、期待するなという方がおかしいとも言える程の大作となっているようです。が、しかし…。ベッソンプロデュース作品に共通する“ヘンなコメディ路線”となっており、ストーリー展開もかなり支離滅裂。日本的なモノを適当に詰め込みたかっただけな気がするのは私だけでしょうか?

日本が舞台になっているからか、過去に観たベッソンプロデュース作品の微妙な違和感がかなり薄れ、わけがわからない内容ながらもなぜか素直に楽しく観る事が出来る不思議な作品となっています。全体的には“テレビドラマ”のようなチープさが漂いますが、ツッコむ隙を与えないテンポの良さと、ジャン・レノの圧倒的な存在感が作品の底上げに貢献しているようで、個人的には妙に納得してしまいました。

いろいろと噂が絶えなかったヒロインの広末涼子ですが、ふたを開けてみれば想像以上に溶け込んでいて、フランス語を流暢に操っている姿には素直に感服しました。フランス語の発音は、正直言って一般日本人には難しすぎると思うのですが、それプラス“演技”もしなければならないとなると、それはもう想像を超える程の努力があったのだと推測できます。

一つ気になるのが音楽です。リュック・ベッソンの作品ということで今回もエリック・セラが担当しているのですが、どうも今作ではエリック・セラのセンスが空回りしたというか、存分に力を発揮できていないというか、どうもイマイチな印象を受けます。日本文化を無理に誇張したような、わざとらしい浮いた琴の音色には、どうにも気が抜けてしまいます。ただですら支離滅裂な展開で話が進むのに、脇を固める音楽がこれでは余計にチープ(B級)な印象を受けてしまうと思います。

周囲ではネガティブな批評を聞く事が多い今作ですが、個人的にはそれなりに評価してもいいのではないかと感じています。なかば暴走したような方向性の映画ではありますが、そこはやはりリュック・ベッソン、そしてジャン・レノ。明らかに金は使い過ぎですが、全体的なパッケージングとしては破綻せず成立しているように思います。映画館に出向いてまで観るような作品ではありませんが、ジャン・レノ魅力は存分に発揮されているので、ファンならチェックしておいて損は無いと思います。
(2004/01)

本文:ボブ爺

製作・脚本:
監督:
音楽:

出演:

リュック・ベッソン
ジェラール・クラウジック
エリック・セラ

ジャン・レノ
広末涼子
ミシェル・ミューラー
キャロル・ブーケ

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