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秘密

母と娘が帰郷中、バスの転落事故事故という不運によって命を落とすのですが、運び込まれた病院のベットで死ぬ直前に、母の魂が娘の体に乗り移るという事態が起こってしまいます。母は娘として人生をやり直すのか、それとも愛する夫の妻として生き続けるのか、目の前に突き出された事実の狭間でせつなく悲しい愛の物語が展開します。

なんと主演は広末涼子。名前だけを聞くと「このキャスティングで大丈夫か?」という不安が過りますが、意外にも役にうまくハマっており、独特の個性を持つ小林薫との掛け合いにも特に不自然な部分はありませんでした。「広末主演映画」という部分だけを聞くと微妙に観たいと思わなくなってしまいますが、実際に蓋を開けてみるとかなり感慨深い内容になっているので、ここは食わず嫌いにならず素直な立場で観て欲しいところです。

が、しかし。映画本編とは関係ないところで微妙に着になることが多々あります(本編でもツッコミたくなる箇所はありますが)。そもそも この映画が公開されたのは1999年。この時期といえば確か広末涼子が大学生になったことだと思います。周囲からの注目度も一段と高まり、微妙にハイな状態になり始めたのがこの頃だったりして・・・(単なる推測です)。改めて考えると、この秘密という作品は日本アカデミー賞だけでなく、スペイン・シッチェス・カタルーニャ国際映画祭で「最優秀主演女優賞」「最優秀脚本賞」、イタリア・ウディネ国際映画祭で「観客賞」、スイス・ジュネーブ国際映画祭で「最優秀作品賞」と、国際的に高い評価を得ているわけです。日本での興行成績がイマイチだったことを考えると、まさに実力で勝ち取った勝利ととれなくもありません。うーむ、勘違いするには十二分な状態ですね(笑)。

ともかく、その後リュック・ベッソンの「WASABI」に出演するも様々な問題が噂され(※1)、昨年のドラマでは先輩大物俳優に演技指導しはじめたり、ロケのドタキャンや朝まで遊んでばかりといった噂も多々ありました(※2)。何やらすべてはこの「秘密」から始まってそうな気がしないでもないところです。そう考えると、今の時期に観た方がまったく別次元でも楽しめるかもしれません(笑)。まぁ実際には作品自体がとても優れているので、そのような副産物は余計なもの以外の何物でもありませんが…。

そもそもこの映画は、東野圭吾による同名タイトルの小説(?)が原作になっているようで、原作と映画では微妙にキャラクターの描かれ方や結末が異なるようです。気になる方は原作も併せてチェックして欲しいところですが、やはり最大のポイントは結末の描かれ方でしょう。

最近は“すべてを明かさない”系の作品が比較的多くみられるようですが、それは事後の討論や自分なりの解釈を膨らませるという口コミ的戦略面も考慮してあるのかも知れませんし、そもそも一概に良い悪いを決められるものではないでしょう(つまり好みの問題)。自分はまだチェックしてませんが、原作版秘密は遠回しに結論部分を臭わす展開になっているようです。それに対し、映画版秘密の場合はどちらかというと結末を視聴者に提示したタイプであると言えます。基本スタンスが異なるだけに意見がわかれてしまいがちですが、個人的には映画(娯楽)としてのスッキリ度は高いのですが、そのかわり物語的な不透明度も高くなっているように感じます。あまり細かく言ってしまうとネタバレになるので避けたいところですが、目の前にある数多くある結論の中からソレを選んだという事実をあからさまに提示されてしまうと、ソレを選択した要因自体に疑問を投げかけてしまいます。つまりソレに至る経緯に若干説得力が欠けるというわけです。その結末を選んでしまったが為に、より一層深いレベルでの描画を求められてしまうのは仕方がないことではありますが、ここは作品に対して高い完成度を求めた作り手側の姿勢と捕らえ、観る側はそれらの答えを自分の中に求めるのが賢明だと思います。その方が明らかに建設的ですし、微妙に視野角を変えることによって新たな発見があるかも知れません。

ちなみに冒頭のバス転落事故シーンはCGIによるものですが、意外とイイ案配に合成されているような気がします。嘘臭さは邦画特有の相変わらずなレベルなのですが、“嘘臭くても不自然ではない”という微妙な落とし所をうまくみつけていると思いました。昨年話題になった同じ滝田洋二郎監督による「陰陽師」が、あまりにもヒドイCGだったという話しも聞いたりするので、これは単純にオペレーターの技術や予算面といった部分が噛み合うか噛み合わないかの違いなのかも知れません。秘密の場合は外人の名前もクレジットされていたので(※3)、当時としてはカット数が少ない割に力が入れられたのかも? というより、監督にはもう少し純粋なビジュアル面の重要度を認識してもらいたいところですね…(今後に期待)。
(2002/04)

※1
リュック・ベッソンの要求に広末が答えられず、一時は降板させられそうになったとか…。念のため言っておきますが、あくまでも“噂”ですよ
※2
夜遊びのし過ぎて、肌が凄まじく荒れてたらしい。メイクではどうにもごまかしが効かない程の荒れ具合だったらしく、スタッフ陣はかなり困っていたようです。というより、オールで遊んでいた相手が金子賢だったというあたりがより一層興味深いですね。これまたこの映画がキッカケだったりして!? しつこいようですが、あくまでも“噂”ですよ(笑)
※3
クレジットされていたのは1人でしたが、それよりも“RenderMan”の文字が時代を感じます。当時はRenderManを使ってるっていうだけで注目されたのかもしれませんが、まさに「そんな時代もあったなー」という感じですよね
本文:ボブ爺

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滝田洋二郎
斉藤ひろし
児玉守弘
原田俊明
間瀬泰宏
田上節朗
進藤淳一
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