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2002年1月11日

鷹木朗氏ロングインタビュー(3/4)

昨年末も京都の「galerie 16」にて毎年恒例となる個展を開催した鷹木朗(タカギアキラ)氏に、ここ数年続く自然を描いた作品と、それにいたる経緯を語ってもらうロングインタビュー。

鷹木:この体験によって、すぐに制作の姿勢や考え方が変化するということはありませんが、今後、新しい視点で自分の作品を考えていくことに作用する可能性はあると思います。

この年には、兵庫の美術館でも風景画をテーマとする洋画の展覧会に出品する機会がありました。私にとって「洋画」は意識したことのないくくりだったので、非常に面白く思いました。また、「風景画」は私のある思考過程の中で重要な言葉だったので、再考する良い機会となりました。いずれにしても、この年は私の作品を少し違った視点で見つめ直す機会になったことは確かです。その結果は、ずっと後になって現れるのでしょう。

SI:作品制作の過程や手法についてのお話を聞かせもらえないでしょうか?

鷹木:これは一口ではとても説明できません。また、作品によっても(外見の形式は一緒でも)千差万別なところがあります。

ただ、あえて言うならば、制作の実践の過程が私の思考を生み、それを先へと進めて行く源泉だということです。最初にコンセプトがあるのではなく、制作行動がコンセプトを生み出すのです。更に言えば、制作の動機そのものが制作の中にあります。ですから、用いる材料や技術(私にとっての)はとても重要です。

SI:教師という本業と作家という二足のわらじに加え(もしかして逆だったり?)、普段は人に教える側にいるという現状を考慮すると、モチベーションを高め、さらにそれを維持していくのは困難なことのように思えるのですが、そのあたりの現状を本人はどう感じているのでしょうか?

鷹木:つらい、とてもつらい…。というのは、主に経済的、時間的問題です。先程もお話したように、私の制作のモチベーションは制作の中から生まれてきます。やらなくなってしまえば楽だし、それでお終いっていう気もします。しかし、違う面から考えてみると、私は職業的に絵を描くことに対する疑問もあります。

制作は何か無償の行為だし、人生を賭けるというのとも、ちょっと違う感じがします。むしろ、生きることそのものと言う方がまだしも近い感じというか…。要するに、食事を楽しむとか、子供と遊ぶとか、そういったジャンルかな、と。そしてそれらの視点から考えると、何か人のお役に立つ事の出来る仕事をちゃんと社会的に持っていたい、とも思います。

以前の勤め(デザイン学校でデッサンや色彩を教えて、教務事務をやるとか、美術学校の受験研究所で実技指導と教室運営をやるなど)の時は、自分の持っているものを少し人の役に立つところで提供するみたいなスッキリ感はありました。ただ、余りにも時間的に厳しくて、制作はたいへん困難でしたが…。

その点、今の学校は時間的には少し楽(比較すれば)なのですが、私の中途半端さみたいなものをそのままに学生と接していると言うか、中途半端の拡大再生産なのでは、と恐れを抱く時があります。うまく行かないものです。

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